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**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

2024.02 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2024.04


「強い」という評価

『巧拙は攻防に強弱は攻略に現る』

麻雀においての「強さ」とは、いわゆる「勝負強さ」ということだろう。
ここぞという場面では必ず勝負に勝って、相手を捩じ伏せてしまうような
そんな強運の体現者が「強い」と評価されるのだと思う。
これを個人に具わった天性の運の表象として片付けてしまうのはたやすい。
が、麻雀が運の流れに棹差すゲームだと定義する身では、そうもいかない。
麻雀の対局の場においては、運は流動的なものでなくてはならないからだ。
強運の存在は認めても、個性としてのその独占を認めるわけにはいかない。

そこで改めて、「強い」という表現の考察から…
通常「強い」という形容詞は力の優劣比較に使われる。「弱い」の反対だ。
「強さ」とは、その度合い…つまり強度であり、これは脆弱度の度合いを
表す「弱さ」と同義で同一線上にあることになる。
この物差しは基準点を設定して、それ以上、以下という計測も可能だが
肝腎の基準とすべき目盛が曖昧で数字も刻まれてはいないのだ。
「強い」と「弱い」は飽くまで相対的な指標であり基準を必要としない。
だから実体の無い精神や霊魂、運といった概念の優劣表現にも使えるのだ。

麻雀の場合は論理数理の及ばぬところ、つまり常識的には考えられない
成果を形容する表現として使われることが多い。
初心者が上級者を相手に何連勝かすれば「上手い」ではなく「強い」という
評価をうけることになる。運が良かった。ツイていたという判定だろう。
事実、初心者の勝利はおよそこの「強い」に因ってのみ成就する。
理論定石を知らない初心者も運次第で勝てるのが麻雀なのだ。
しかし、そんな恐れを知らない初心者も、いずれ理屈を学び技巧を覚え、
やがてそれらを頼りに戦うようになる。運は当てにはできないから…
合理的思考は理不尽な結果を返す不条理を恨み、論理武装の抵抗を試みる…
巷の麻雀打ちが辿る上中級者への一般的平均的道程であろう。

しかしながら、不条理の世界に架ける合理の橋とはどんな橋なのか…
二律背反の幽谷に元網だけが見え隠れする朽ちかけた吊橋のようなものか。
無いよりはマシなのか…揺れる橋を渡れば常に転落の恐怖に苛まれるだろう。
そして、この恐怖体験で大概の者は強さを失って、弱者に甘んじる。
弱者は不条理の出現を恐れ、自ら萎縮し迷宮へといざなわれる…

「相手の心を読むのではなく、相手の心をつくってしまう」
               阿佐田哲也の麻雀秘伝帳より

麻雀の「強さ」とは対戦者の記憶が感応する相対的な畏怖の念であり、
思い込み、つまり不条理の異常体験に因って生成される主観的観念なのだ。
偶然の現象を、相手の特性と関連付けてしまうために起こる錯覚といえる。
強烈な印象の体験が度重なると払拭できなくなる。インプリントである。
畏怖や苦手意識といったネガティブなデータが無意識に刷り込まれてしまう。
一旦刷り込まれるとアレルギーや条件反射、催眠術などに近い状態となり
当人の意志による払拭修正が極めて困難な状態に陥ってしまうのだ。

私は数年前から静電気に悩まされるようになった。以前は無かったことだ。
以来、冬の乾燥した日にはドアノブに触れる前に無意識に身構えてしまう。
実際には針に刺される程の痛みも無いのに、怯えるなど馬鹿な話だと思う。
しかし金属の光沢を見ただけで身体が勝手に反応してしまうのだ。
眉を顰め、意を決して「えいっ!」とノブを掴むことになる。
人間の細胞が電気信号によって制御されていることを思い知りながら、
ひとり惨めな気持ちになるのだがどうにもならぬ…

強者とは勝負事でのその威圧感の優位性を熟知している者のことをいう。
勝利の場面を強烈に演出し、敗北の印象は即座に払拭する。淡々と…

ブー麻雀での打牌には手作りであれ差込みであれ手ナリを否定した意志が
込められることが多い。傍目には全ツッパのように見えるかも知れない。
常にオーラスの状況で逆転狙いの攻防、捲くり捲くられの戦いだからだ。
無筋の危険牌を躊躇無く平然と切れるのは、当たっても納得できる手筋を
踏んでいるからであり、当たり牌の確率を理論だけでなく実戦で体得して
いるからだ。牌の選択に迷い怯える必要は何処にも無い。

自分のリーチに無筋の牌を連続で切り出され、一発逆転の和了をされる、
そんな展開を二三度連続で見せつけられたら、あなたの心は相手を恐れて
余裕を失い、金縛りにあってしまう。無意識のうちに…
常軌を逸し、正気を逸し、勝機を逸する。
「強者」と「弱者」の誕生だ。
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テーマ:麻雀 - ジャンル:ギャンブル

コメント

食っていくだけなら、「ツキが落ちれば帰る」だけで可能ですね。
ただし、それを見世物としてる人には許されない事ですけど(^^;)


私の麻雀は技術など全くない直感のみの遊びでしかないので、玄人を理不尽な強運でねじ伏せるのが快感です(笑)

上記の文

常軌、正気、勝機・・・
amou0さんはこういうの上手いですよね。

本題と全然違うところに食いつきますけど(笑)。

たそかれ様

一応、たそかれ様で…
麻雀でシノギをかけるのは、他の博打よりも簡単です。
実生活で究極の自己管理が必要ですが…これが出来ません。
まず他人の事は一切気にしない自己中心主義の権化になること。
例えば、日当分以上浮いたら時間や回数に関係なく即やめること。
卓割れしようが、顰蹙をかおうがさっさと引き上げること。
強い相手(いろんな意味で)とは打たないこと。
弱い相手や下手な者がいたら美味しいと思って容赦しないこと。
遊びじゃなく金を稼ぐための仕事だと完全に割り切ることですね。

一番難しいのは、余った時間の過ごし方です。
暇がありすぎて、ここで大概の者は失敗挫折します。

omoteura さま

え~と、まあ草稿は…

「上記の結果、常軌を逸し、正気を失い、好機を逃し、勝機ものがす」

こんなん出ましたが…正気と勝機でいいだろうとまとめたわけです。
本当はコテコテの文章も書きたい…欲求不満が時折露呈します。

鼻をつまむような子供もおりませんので、その点は気楽です…はい。

お久しぶりです

ま、勝ったやつが強いって事だとは思いますが。

麻雀には戦略と技術があると思うんですが。
押し引きっていうのは、いわゆる戦略。
何を切るってのが、いわゆる技術。

強い人ってのは、戦略に優れた人で、うまい人ってのは技術がある人ですかね。
あくまで私の考えなんですが。

うまいけど強くないって人、結構いますもんね。

Dr. I 様

お久しぶりです。
相変わらずの厳しいローテーションでの勤務のようで、お疲れ様です。
夜中に美人ナースを相手に麻雀しながら待機するシステムならば
夜勤も楽しいのではないかと思いますが…
バレたら免許剥奪、医学界から永久追放になるでしょうが(笑)

仰る通り、麻雀では上手いけど強くない人を多くみかけますね。
上手いと弱いは一緒で、下手と強いも一緒みたいな…
肝腎なのは使い分け、バランス感覚だと私は思っています。

馬鹿でなければ数理的なものは誰でも計算できるわけですが
計算できるだけで正解ではない。
根っから不条理が土台で、なお人間相手ですからねえ。

タバコの害は解っていても俺は止めないなんてぇ奴もいるわけで(苦笑)
でも明日は吸わないかも知れないし、お金が無くて吸えないかも…
近場にたまたまタバコ屋が無くて買えないかも知れないし…

気まぐれで不可解な人間の思考生理、行為行動を相手に戦う麻雀では
お医者さんなら手術や臨床経験の積み重ねに依ってのみ養われそうな
患者の状況や態度の変化に敏感に反応できる、そんな感受性がないと
強くはなれないだろうと思うわけです。

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