**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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メンバー百景(1ーF)

吉田とは長い付合いだ。
気心が知れるに連れ身内のような情が湧き、ゲームの興が削がれるので
この頃はもう互いに同卓で麻雀を打つのは避けるようになっていたが、
嘗ては毎日のように一緒の卓で戦ってっていた。
彼は私が国士をあがった場面を何度も見ているはずだし、
彼からも一度ならず和了した記憶がある…
その時は開かれた国士の聴牌形を見て「えっ?」と驚き、
その後私の捨て牌を見詰めて呆然と固まっていたはずだ。
もう忘れているのだ。私の国士狙いの手筋を…

私の国士はその半数が「気付かなかった…」という感想で終了する。
相手と場の状況を考慮した上で、捨て牌に可能な限りの偽装を施すからだ。
単純な迷彩ではなく錯覚を抱かせるような河模様を狙う…

国士無双の手造りには手牌の取捨選択は必要ない。牌効率も意味が無い。
不足しているヤオチュウ牌をツモってこれるか否かが総てだ。

国士無双と七対子は、麻雀の基本構成を無視した変則形の救済役であり、
不集合、不連続の集牌はどうしても捨て牌に異彩が顕われてしまう。
自分の手牌しか見えないような盆暗相手なら別だが、少しでも牌理が分かる
相手なら十中八九、聴牌以前に露見して、警戒され対策を打たれる。
タンヤオや混一のようにポン・チーによる手造りが可能な役ならば
スピードと引き換えに、多少手の内を晒しても不利とばかりはいえないが、
門前条件で単騎待ちを強いられるような手造りがガラス張りでは勝ち目が薄い。

国士の和了率は他のどんな役よりも聴牌速度の影響を受けるのだ。
早ければ早い程、急角度で和了率が高くなる。
中盤以降、聴牌が遅ければ和了率は極端に低くなる。
国士聴牌が見え見えの全ツッパでは他者への放銃率は高くなるだろうが…

聴牌速度はヤマ次第、ツモ頼りで変えようが無い。
所詮は運頼みといえるが…ツモの回数が増えれば聴牌確率は高くなる。
局面と配牌の向聴数を考慮した上での時間稼ぎは有効だろう。
手の内を悟らせず、警戒心を抱かせず、他者の手造りを遅らせる。
その為に、私は国士の手造りは河でする。捨て牌造りで…

私は国士狙いの配牌にヤオチュウ牌の対子があれば、迷わずその牌を
第一打に選択する。対子が一組だけで頭無しの形になっても切り捨てる。
向聴オチは気にはしない。
私は過去に無数の国士の聴牌と和了を経験しているが、ヤオチュウ牌を
余らせずに聴牌した記憶は数えるほどしか無い。
W立直の国士も自他含めて2、3度記憶にはあるが…
国士の場合配牌が一向聴の形でも聴牌以前にヤオチュウ牌が余ることが多い。

麻雀牌136枚のうちの52枚…三分の一以上がヤオチュウ牌なのだ。
ヤオチュウ牌はいつでも引ける。有効牌が引けるかどうかが問題なのだ。

いずれにしても、手牌よりも局面への考察が重要なのだが…

吉田が虚ろな目で新しいメモ用紙とボールペンを差し出した。
書けというのだ。ヤオチュウ牌の何を引いても聴牌する牌姿を…
酔っていなければ、すぐに気付いているだろうに…

①⑨19一九東南西白發中+(?)
pin1m.gifpin9m.gifsou1m.gifsou9m.gifman1m.gifman9m.giftonm.gifnanm.gifsham.gifhakum.gifhatum.giftyunm.gif urapai


吉田は眉根を寄せてメモを睨んでいたが、
「この配牌からこの一向聴かぁ…天羽流向聴崩しの失敗作だな…」
悪戯っぽくニッコリ頷いて納得した。
「じゃァ、ツモ切りって…小手返しでツモ牌をすり替えたんでしょう…」
私は応えず、目を逸らしてグラスを乾した。
「でも、工藤のやつ、天羽さんは手牌には触れなかったって言ってたなぁ
 ヤマからツモって盲牌してそのままツモ切りしたって…?」

確かに私は手牌を手元に伏せたままだった。
そして、そこには寸毫も触れはしなかったのだが…




芸術は別としても、秋は食欲と行楽の季節です。
出無精の私にもお誘いはかかります。それなりに楽しいお誘いが…
遊びが、いや付合いが忙しく、記事を書く時間が少ないのです。本当に…
この怠惰ブログを読んで下さっている方々には、
UP率の悪さを誠に申し訳なく思っておる次第です。
しか~し!
ワタクシメには読者様に対し何の義理も御座いませんことを
あらためてご理解下さいませマセ。
ムムッと異議異論のある方は即刻お申し出願います。
律儀が取得、不義理となれば万難を排してお応え申し上げます。
秋の夜長、皆様も美味行楽にて存分にお楽しみを…
では、では、出発の準備がありますのでこれにて御無礼!
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メンバー百景(1ーE)

この章の「結」を早く着けたいのですが筆が進みません。
書きたいネタが多すぎるのです。簡潔に纏められずに
ビックリ箱に大きなスプリングの中身を無理に
ぎゅうぎゅう詰め込んでいるような感じです。
前回予告した場面まで到達できず恐縮しております。
日にちが経ちすぎたのでとりあえずUPします。


「おーい、氷はまだかぁ~?」
奥のボックス席から声が掛かった。
「あ、いけないッ、忘れてたぁ」
ママが首をすくめて、舌を出す。
氷を取りに来たのを忘れて私とじゃれていたのだ。
バーテンが手早くアイスペールに氷を入れて差し出すと
「商売、商売…」
耳元で囁いて、絡めていた腕をするりとほどいた。
その腕にアイスペールを抱きかかえ
「アーさん、帰っちゃ嫌よ、待っててね…」
危うい足取りで賑やかな席に戻って行く。

何を待てと言うのか…私は苦笑する。
魅惑的な聴牌も、あがりが無ければ意味が無い。
二十歳前ならいざ知らず、妄想に思い悩むほど私はもうウブではない。
倍満だろうが役満だろうが聴牌止まりでは、役無しの仮聴とかわらない。
姿かたちに惑わされ、強引に手を追えば泣きもみる。痛い目にも遭うだろう。
危険な香りのする女、いや牌姿には心して掛かるべきなのだ。

切れた紙紐の指輪、謎掛け遊びの小道具を吉田が丁寧に元のメモに戻して
バーテンと一緒にじっとその配牌譜を睨んでいる。
その真剣さが可笑しくて、私はまた噴き出してしまった。

「ンなものを見たって、ナンも分かるわきゃぁねえだろうよ」

いきなり配牌だけを見せられて何かが解ることなどありはしない。
それは神様か預言者の技だろう。
配牌はなんの意味も無い十三枚のカワラケ、絵札の組み合わせでしかない。
天和だろうが地和だろうが変わらない。配牌は配られた牌でしかないのだ。
そこに意味を持たせるのは、人間…人智の成せる技なのだ。

吉田の唇が少し尖ったように見えた。
バーテンが首を捻る。
「これが、陥穽形だと言ったのは…?」
どういう意味なのかと訊いてきた。
「それは、ヨシちゃんの言うあるクラスにならないと判らないだろうな」
「クラス…ですか?」
「君は麻雀を覚えてどのぐらいになる?」
「大学に入ってからで…まだ、四年ぐらいですけど…」
「学生か…そうか、W大だな?」
「ええ、まあ…」
「まあ…か、じゃ、籍はあるが留年してる、今年も単位が危ない…」
「……!?」
「卒業はしたいが学費も滞納しているし、中退しようかどうか迷っている…」
「な、どうして?!ママに聞いたんですか?」
「俺はまだ君の名前も知らんよ、だがな、歌舞伎町には似たようなのが
沢山いてな、長年見てると同類は色と匂いで分かるようになるんだよ」
「……」
「歌舞伎町での経験則だな、俺の頭ん中のデータの統計的推理ってやつだ…
 あるクラスってえのはそういうデータを蓄積してるレベルのことだよ…」
「経験則…で…」
「陥穽形の判断は勿論経験則だ、パターンはあるが一律ではない、飽くまで
 その時、その場での俺の判断だ、だから、初手からギヤはバックに入れる」
「バックに?」
そのとき吉田が
「天羽さん、この配牌で…」
キョトンとした顔でメモから目をあげた。
「国士の一向聴の形がヤオチュウ牌の何を持ってきても聴牌するって?」
それはどういう形なのかと詰め寄ってきた。

④⑦⑧⑨⑨19一一白発東西
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メンバー百景(1ーD)

「凌」と書いて「りょう」と読む。
このスナックの店名で、ママの歌舞伎町での源氏名だ。
お水への源流は生まれ育った町のスナックでのアルバイトだという。
北国の小さな飲み屋で、本名の良子「よしこ」でデビューしたのだと。
札幌のススキノに移って良子を「りょうこ」と読ませたとか…
東京に出てきたのは…札幌への単身赴任の男、いわゆるサッチョン族の
妻子ある男との不倫にはじまる悲恋のドラマ。
ススキノの女には、あまりにもありふれた、不毛の愛の物語だと笑う。
男を追いかけて上京し、男の家に近い錦糸町の安キャバレーに勤めながら、
そこで人生観が変わるほどの波乱に満ちた数年間を送ったのだと。
自暴自棄になって開き直ることで、ようやく錦糸町から離れられたという。

歌舞伎町デビューは風林会館の上に在った有名なグランドキャバレーだが
ここで良子の「りょう」は凌駕の「凌」に変えられた。
連日、有名歌手やタレントが出演するステージと広いダンスフロアーを備えた
老舗大箱キャバレーの在籍ホステスの中に、既に良子という源氏名の売れ筋の
古参のホステスがいたからだ。
知り合って間もない頃、凌駕の凌なら良い名前だと話題にしたことがある。
が、名前には別の意味があった…シノギの意味の「凌」だというのだ。
「嫌味で付けたの…、甲斐性無しへのあてつけよ、ふふ…」
男の凌ぎの為の女なのだと、事も無げに言い切って浮かべた微笑の妖艶さ、
その妖しい美しさに、一瞬、我を忘れて見とれてしまった。
私はその「甲斐性無し」とも多少の交友があったのだが…それは伏せる。

凌は麻雀を打つ。
それも、見た目の線の細さからは想像もつかない強靭な麻雀を…

女性の麻雀打ちで勝負のバランス感覚を体得している打ち手は滅多にいない。
思考派か感覚派か、いずれか一方に極端に依存して流される者が多いのだ。
女性は感情を一方向、一点に集中することで情緒の安定を保とうとする。
色恋沙汰のパターンを検証すれば解るが、押並べて直情的なのだ。
女性の単眼的選択は、本能、メスとしての生理的反応なのだろうと思う。
四人が一対三で戦うという複眼的環境への対応が難しいのかも知れない。

凌も女であり例外では無い。が、彼女は目が利くのだ。
醒めた感性で場の温度差に高感度のサーモスタットが働く。
修羅場の場数を踏んだ者だけが、その過酷な戦いの代償として修得できる
進退の妙技…、我欲の抑制と開放とを切り替えられる鋭い感性だ。

通常はクセの無い淡々とした麻雀を打つ。
綾目のときは、転機を窺いながらジッと耐え忍ぶ慎重で繊細な麻雀になる。
そんな局面では、盲牌した瞬間に手を止めて、一瞬眉を曇らすことがある。
目をほそめ、唇を噛み、微かに首を傾げて一拍、おもむろに進退を決する。
その所作に盆茣蓙の風を感じる…賭場で札目を読む…そんな息遣いなのだ。

そして、一旦有卦に入り、嵩に掛かったときの攻めは尋常では無い。
「天上天下、りょうが独占…!」……もののけ姫が決め台詞を吐くと
対局者はたじたじとなり、大の男が雁首揃えて悲鳴を上げることになる。
「ばーか、それを言うなら唯我独尊てんだよ」
笑って茶化せるのは、彼女の恐ろしさ、神懸りの恐怖を未体験の人間だ。
いずれ、その厚顔も引きつる…睾丸も。

凌の麻雀は実戦博打麻雀なのだ。過去の生き様を彷彿とさせる…

「鉄火女めッ!持ってけ泥棒ッ!」
私は被害にあうと、そう毒づいて揶揄する。
「あぁ~快感!イキそう…」
この『イキそう』は彼女の口癖で、場面に依って数パターンを使い分ける。
「けっ!行けばいいだろッ、どこにでもイキぁがれッ!」
いつもこんな感じだ。

勝敗が逆の場合は…推して知るべし。

私は凌に惚れていたようだ。多分そうなのだ…。逃げ腰で…。
男が惚れた女に弱いのは当然だろう。金を巻上げることなどできない。
言い訳では無い!断じて!…そう思う…のだが。



凌ママは麻雀が好きでも、牌譜を読んで楽しむような手合いでは無い。
記号の意味ぐらいは判るかも知れないが、興味は無いだろう…

私は配牌を書いたメモをカウンターの上で帯紐状に細く折り畳んだ。
その紙紐で輪を作り、ママの小指に結び付けた。
「役満ができるオマジナイだよ…」
「おまじない……?」
「これを着けてれば国士無双をあがれるよ」
ニッとおどけた表情を振ろうとしたが、羽交い絞めの体勢で動けない。

「指輪なら、薬指がいいなぁ…」
「くすりゆびぃ……!」
顔が接触している状態なのだ…真顔なのかどうか近すぎて表情が見えない。
な、何を言うかぁ~!この男たらしがぁ~!俺がそんな甘言に…
しかし、悪い気はしない。まあ、誰でもそうだろうが…
「はい、はい、承知いたしました」
鼻の下を気にしながら、小指の紙紐をほどいて指定された薬指に巻きつけた。
「うふっ…そこ、感じる、あぁイキそう…」
「なぬ…!」
聞き慣れた台詞だが、耳元での熱い溜息は流石に利いた。
ゾクッと痺れて、紙紐を結ぶ手に力が入った。

ピリッ…プツン!

推して知るべし…

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プロフィール

amou0

Author:amou0
H.N: 天羽 礼
年齢:知ってどうする?
職業:まとも、だから退屈で
   遊んでるようなもの
BT:AB型の二乗
生息地:深山幽谷&ネオン街
近況:迎えをまっている。
   出来れば天国から
   シースルーの羽衣の
   天女さまを希望…

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