**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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メンバー百景(1-O)

それは、私にとってはありきたりの身の上話だった。
歌舞伎町で多くの雀荘の経営者と接してきた私にとって、
経営の苦労話などは、何処にでもある世間話にすぎなかった。

オーナーと初めて会ったのは、
吉田に呼び出されて歌舞伎町の喫茶店に出向いたときだった。

当時、吉田は区役所の裏のKという雀荘に勤めていたのだが、
店を移るつもりだという話はそれとなく聞いていた。
私はKの経営者とも付き合いが古かったので、
従業員の移籍話などにはなるべく関わりたくはなかったのだが…。

ある日の朝、吉田から電話があって、
私に是非合わせたい人がいると言ってきた。
アイダという人物だと言う。
「アイダさん…?」
「ええ、ご存知でしょう?」
――ご存知…とはヤツには珍しく、馬鹿丁寧な口調だった。
思わず吹いてしまったが、
そのアイダという人物が電話の近くにいるのだろう。
相手は私を知っていると言う。会えば分かるはずだと…。
だが、私はアイダという名前には心当たりは無かった。
相田か会田かは知れないが、ありふれた名前ではない。
多少でも絡みがあれば覚えているはずだ。
が、まったく思い出せなかった。
とにかく会ってくれということで、
一番街の馴染みの喫茶店で待ち合わせをすることにした。

約束をして電話をきってから、不意に不安が襲ってきた。
私が相手を忘れ、相手が私を覚えているということは、
遥か昔、血気盛んな頃に関わりのあった人間かも知れない。
剣呑な世界で向こう見ずな世渡りをしていた時代があるのだ。
あの頃に接触があった人間であれば、無意識の知らぬ間に、
何等かの怨みを買っている可能性も無いとはいえない。

だが…、と気付いて思い返した。
あの頃の私は別の名前で呼ばれていたのだ。
ホステスには――素敵な名前ねぇ、芸能人みたい…。
と揶揄されるようなキザな名前だったが、
歌舞伎町ではその偽名と、もう一つの仇名で通していたのだ。
当時は情を交わした女でさえ本名を知るものは少なかった。
周りから本名で呼ばれるようになったのは、
それなりに真っ当な仕事をするようになってからだ。
昼夜の別無く盛り場に出入りして憚らない生活が、
まともな生活かどうかは判断の分かれるところだろうが…。


私は約束の時刻の一時間前に喫茶店に入って待っていた。
厨房から裏口に抜けられる一番奥の席に陣取って、
スポーツ新聞を広げ、注意深く入り口を見張っていた。

約束の時刻直前、新聞を読み終えた頃に吉田が現れた。
ツレは紙袋を提げた初老の紳士――。
素早く観察したが、一見して堅気の人間だと判った。
まずは安心だが、やはりその顔に見覚えは無かった。

吉田は私を認めると、笑顔で指差して連れの男を促した。
私の前に吉田と並んで座った男は、
「済みません、これを忘れてしまって取りに戻ったので…」
遅くなったのだと言って頭を下げた。
「いや、まだ約束の時間前ですから…」
私は笑顔で受けて、頷きながら、
――この人物には過去に何処かで会っている…。
そんな気がし始めていた。


半端だけど今日は用事があるので、つづく…

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メンバー百景(1-N)

代走のオーナーの降り打ちを覚悟した私は卓には近付かず、
レジのカウンターに寄りかかって四人の様子を眺めていた。

河内は余裕のニヤケ顔で言葉少なに打っている。
南家は牌をツモる度に迷いながらまわし打ちをしていた。
オーナーは安全牌を探しながら慎重に降りているようだ。
北家が動いた。
「ポン!」と発声したが盤面は見えない。
何を鳴いたのかは判らないが、どうやら、
河内のリーチに向って勝負に出ているようだ。
面白い。見に行こうかと思ったとき、
目の前で電話をかけていた吉田が、
受話器を持ったまま、私の袖を引いた。

「十時半に“凌”ってことでいいですか?」
「ん…?」
「工藤ですよ…。あいつ“凌”ぐらいしか知らないから…」
今夜の待ち合わせの店の話だ。
「リョウか…、俺はどこでもいいよ…」
笑ってそう答えたとき、
背後で「ロン!」という発声がした。
振り返って見ると、河内が歯を見せて笑っている。

私は急いでレジを離れオーナーの傍らに歩み寄って、
河内の前に開かれている手牌を検めた。

案の定、待ちは変則形だった。
リーチの宣言牌を見ると、ど真ん中のsou5m.gif5索だ。
そして、開いた手牌は――、
sou4m.gifsou5m.gifsou6m.gifsou7m.gifsou9m.gifsou9m.gifsou9m.gifpin1m.gifpin2m.gifpin3m.gifman6m.gifman7m.gifman8m.gif
4567999①②③六七八
待ちはsou4m.gifsou7m.gifsou8m.gif――478索。
4-7索と、モロ筋の8索待ちの変則三面張だった。

悪い待ちではない。三面張なら仕方がないと思ったが…。
玉牌を見て目を疑った。
ドラの表示牌に4索が裏返っているのだ。

――sou5m.gif5索はドラじゃねえか…!?
すると河内のリーチは――。
sou4m.gifsou5m.gifsou5m.gifsou6m.gifsou7m.gifsou9m.gifsou9m.gifsou9m.gifpin1m.gifpin2m.gifpin3m.gifman6m.gifman7m.gifman8m.gif
45567999①②③六七八
この形からドラの5索を切って横に曲げたことになる。
9索を切れば――、
sou4m.gifsou5m.gifsou5m.gifsou6m.gifsou7m.gifsou9m.gifsou9m.gifpin1m.gifpin2m.gifpin3m.gifman6m.gifman7m.gifman8m.gif
3-6索でピンフードラドラの聴牌にとれる。
それを、ピンフーも棄て、ドラも棄ててリーチをかけているのだ。
二飜落として三面張でリーチ…?そんな馬鹿な…!
いや、これはこれで否定はしない。アリかも知れない。
場況次第ではこの選択もナシとは言えない。
だが、場は東の一局だ。東発で先手を取った親が…。
どう考えてもマトモな手筋とはいえないだろう――。

その河内の手牌を、北家が困惑顔で凝視している。
河内がクククと笑って、
「やっぱ、出るよなぁ、筋だもんなぁ」
北家の河を見ながら嘯いた。

8索を放銃したのは――北家だった。

中を鳴いての対々志向だったようだが、
man1m.gifman1m.gifman1m.gifman3m.gifman3m.gifman3m.gifman5redm.gifsou8m.gifsou8m.gifhakum.gif     (副露) tyunm.giftyunm.giftyunm.gif
一一一三三三五(赤)88白     中中中(副露)

ここで、生牌の白が対子になった。
man1m.gifman1m.gifman1m.gifman3m.gifman3m.gifman3m.gifman5redm.gifsou8m.gifsou8m.gifhakum.gif  ツモhakum.gif
赤五萬を打てば,8索と白のバッタで対々の聴牌だが…。
全体の河模様が、一見して筒子が安く萬子が高い場に見える。
だから赤五萬を残して、対々含みの混一に切り替えたわけだ。
5索の筋で通りそうな8索を対子落しにかけた――。

北家の手牌の状態から見て、
8索は配牌から対子だった可能性が高いと思った。

まだ北家は納得がいかないのだろう。
河内の手牌と顔を交互に睨んでは何度も首を傾げている。
裏ドラは無かった。
北家は溜息をついて卓の上に3900点の点棒をばら撒いた。

オーナーが私を顧みてニヤリと笑いかけてきた。
そして伏せていた手牌を立て、孤立牌の8索を指差して、
「一発でこれを持ってきた…。これで降りたよ…」
小声で告げてからサッと手牌を崩してリセットボタンを押し、
代走の役目は済んだとばかりに席を立った。

「……!?」
確かに、ど真ん中の5索は光っていたかも知れない。
しかしドラでリーチなら、跨ぎや筋は薄いとも考えられる。
本当に一発で8索を掴み、それで降りたのだとすれば…。

――私はオーナーを見くびっていたのかも知れない…。

考えてみれば、店には滅多に顔を出さないオーナーとは、
面と向って真剣に戦ったことなど無かったのだ。
好々爺の甘いイメージのみが先行しての思い込み――。
いや、オーナーの麻雀に対しての評価に、
一人合点の先入観があった。

そう気付いたとき、壁に貼られた注意書きが目に入った。
そして、以前に聞いたオーナーの話を思い出した。
それは――。

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年齢:知ってどうする?
職業:まとも、だから退屈で
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   出来れば天国から
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