**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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洗足記

歌舞伎町から手積の雀荘が消え、ブー麻雀の店も少なくなってしまった頃
私は久しぶりにブー麻雀が打ちたくなって、前に友人から聞いていたアルタの裏手にあるブーが打てるという雀荘を訪ねてみた。
古い小さなビルの3階にあるその店は驚いたことにまだ手積の卓で営業をしていた。
薄暗い照明の狭いフロアーに通路の空間も無視して古い雀卓が5~6卓セットしてある。応接用のソファーも無いような店だった。
ドアを開けると、入り口に近い一卓だけが稼動していた。その卓で牌をかき混ぜていた4人の客が一斉に私を見たが、見知らぬ客だと分かるとすぐに目をそらし、視線を卓上に戻した。

「ウチは初めてですか? ブーのルールは御存知ですか?」
若いメンバーがオシボリを手に応対に立ったが、私は彼の質問を上の空で聞いていた。その肩越しに見える店の奥に視線を飛ばしたまま…
自分を無視するようなその態度にムッとしたらしく、メンバーは不快気に眉を寄せながら、振り返って私の視線の先を追う。窓際の一番奥の卓を…

男が一人、スポーツ新聞を広げながらコーヒーを飲んでいた。旧知の顔である。
が、もう随分と会ってはいなかった。数ヶ月いや数年かも知れない。
男は私の来店にも視線の気配にも既に気付いているはずだが、紙面に目をおとしたまま顔を上げようとはしなかった。
私はコーヒーをたのんでから、そっとその卓に近づいた。
「どうも…」
ペコリと頭を下げて挨拶すると
「よう…」
例によって一瞥、声にならない口型だけの応答が返ってきた。
「手積で桜井さんが相手じゃ勝てそうもないから今日は止めとくか…」
自嘲気味に吐いた私のセリフに、雀鬼は「ふっ…」と微かな苦笑で応じたが
私を見上げ
「もう、麻雀じゃ食えねえだろう…?」
と真顔で、確かめるように訊いてきた。
おまえはまだ麻雀で凌げているのか?という意味なのだろう。
「麻雀じゃ食えませんよ」
私は笑って答えてから一呼吸おいて話題を変えた。
あとに続く言葉『もともと麻雀で食ってもいないし、食うきも無いから…』という言葉は口にはしなかった。

雀鬼は私のことを麻雀打ちであり「ゴト師」の一人として認識しているに違いない。
私の麻雀経歴からすれば誤解を受けても仕方が無いのだが、しかし、私が麻雀で凌いでいたのは二十歳過ぎの二、三年、実際の期間は一年にも満たないかも知れないのだ。そのへんの話はいずれ稿をあらためるとして…。
雀鬼との接点はあくまで麻雀を介してのみである。その麻雀のレベルが同業者並との評価であれば、後ろめたくも悪い気持ちはしない。
歌舞伎町の最高レートの雀荘に出入りして日夜牌を叩いているような人間はプロかダンベエかのどちらかであり、牌捌きを見れば一目瞭然である。加えて裏社会の代打ちやプロ同士の戦いの場面にも私は出没していた。プロの裏技も知り尽くしていたし使いこなす自信もあった。そんな男をマトモだと思うはずも無いだろうが。

雀鬼が私をどう見ていたかが分かる面白い思い出がある。
歌舞伎町中央通りのビルの地下に大箱の雀荘が開店した。
その店の運営に雀鬼が参画しているという話を聞いて私は覗いてみたのである。
記憶は曖昧だが確か20卓を超えるような大箱だった。
一見には紹介者が必要だといわれて驚いたが、雀鬼の名前をだして入店した。
またまた驚いたことにほぼ満卓である。が、それは大会のイベントのせいだった。
「参加しますか?」
「ええ」
ということで、私はメンバーが座っていた席に案内され、大会が開始された。
総勢6~70人の参加者の中で私は飛び入りで3位だか4位に入賞したのだが
それはどうでもよい…問題はゲームの最中に違和感があったことだ。
半荘が終了し卓替えで移動するたびに、私の背後にメンバーが張り付くのだ。
シキテンである。悪さをしないかと見張っているのだ。私だけを。
これは雀鬼の指図だなと思って可笑しくなった。
雀鬼にとって、私は何をするかわからないゴト師だとの認識だったのだろう。

雀鬼はほどなくこの雀荘から手を引いた。オーナーとの確執が原因だとか…

話を戻そう…
「もう、麻雀じゃ食えねえだろう…?」
このときすでに雀鬼はイカサマ技のビデオ製作に乗り出していた。
麻雀プロから足を洗う決心をしていたということだろう。

やがて、「20年間無敗の男」のキャッチコピーと共に表舞台に登場するわけだが。
麻雀に無敗は有り得ない。このコピーをそのまま受けて揶揄する馬鹿がいるが。
プロの無敗とは「勝たねばならない勝負には必ず勝つ」ということだ。
手段を選ばず…これはゲームという次元の話ではない。
麻雀賭博のプロとして新宿で生き残ってこれたということはそういうことなのだ。

雀鬼は表世界で生きるようになってから「麻雀プロ」という呼称は意識的に避けているような気がするのだが、私の思い違いだろうか。

阿佐田哲也は何故麻雀のイカサマ技を小説で公開したのか…?
   「もう、麻雀打ちが食える時代じゃありません…」

雀鬼が何故麻雀のイカサマ技をビデオで公開したのか…?
   「もう、麻雀じゃ食えねえだろう…?」

『麻雀で食おうとも食えるとも思わなかった…
 私は麻雀というゲームが面白くて楽しくて大好きだから…』

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テーマ:麻雀 - ジャンル:ギャンブル

コメント

マンマークっすか?

シキテンつけられて麻雀打つのは嫌ですねー。

例のお方とは全くの一面識も無いのですが、今目指されていることと、当時の雰囲気はだいぶ趣が異なりますね。その辺のことは巷でも語られているようですが、amou0様なりの見方があったら伺いたいものです。結構あのお方に興味があるんです。

おーっ!

ギャラリー付きの対局とは、なんと羨ましい(笑)

私は一人から沢山よりも、多数の人から少しづつ沢山の方が罪悪感が薄らぐので、麻雀で喰って行こうと考えた事は無いですね(^_^;

omoteura さま

あまり雑誌は読まないのですが、あの方は現在麻雀週刊誌にエッセイを連載しているようです。
内容や創作状況は不明ですが(自筆か口述か代筆かどうでも良いのですが)

タイトルの『我れ悪党なり』…は本人による命名だと思います。
そして、そのタイトルがどの様な心境から生まれたのか、僭越ながら私には解る様な気がするのです。

「歎異抄」善人猶以て往生を遂ぐ、況や~
自力を神として生きてきた世界から、自分は生かされているという感謝の世界を実感できて移り住むことができたのかも知れません。
尚且つ、自分の精神世界の生きザマだけは貫徹したいのだと思います。
それまでを自己否定すれば死んだも同然ですから…

雀鬼流(道場)については
勝敗を運に委ねる麻雀を純然たるゲームとして捉えたとき、サイコロの目の選択を教示できないのと同様に、ルールや対局姿勢以外に言葉や文字で教授できるようなものは何ひとつ無いと思うわけです。
博打的要素に関しては実戦において身体と感覚で身につける感性、勝負感、危機感、心視点を磨く以外に方法は無い。
あの方の道場は後進に連日の竹刀稽古を強要するための道場なのでしょう。
理不尽な規則を科して真剣勝負の厳しさを体感させているのかもしれません。

以上、あくまで私見に尽きますが…(表情のみ裏読みは抜きにします)

子皮さま

ワタクシは雀荘でのギャラリーには慣れっこでした。
コホン、美人で派手なドレスのギャラリーが多かった…
「あ、いたいた、今日、同伴日なのよぉ~お願い…」
なんて、ピッタリ背後に付いて離れないわけです。どうよこれ羨ましい?


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トンキチです。麻雀の好きな方って、どこかアウトローな人生に魅力を感じる方って多いと思うんですよ。ドルフィンでは、アウトローっぽく振舞って欲しくはないですが。。。アウトローっぽい、麻雀人生(?)を垣間見れるブログがhttp://amou0.blog62.fc2.com/ **麻雀
プロフィール

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H.N: 天羽 礼
年齢:知ってどうする?
職業:まとも、だから退屈で
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近況:迎えをまっている。
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