**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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夜の訪問者(4)

B君の家は、元大きな氷問屋さんで、彼は次男坊。
本宅以外に九州のいろいろな都市に出店があり、~中略~
そうしてある年、身につけたギャンブルで身を立てようとして上京し、
これがまた運よくもあったけれど、今日、ギャンブルタレントとして
大活躍しています。
B君は遊び好き、女好きで、実生活は滅茶苦茶ですが、けっこう人に
愛されるところがあって、今日のところまでは完全な行きづまりを見せずに、ヘラヘラ笑って日を過ごしています。 ~中略~
B君の長所として、明るさ、親切さ、敏感な感受性などがあります。
           阿佐田哲也著『家庭の幻を背負いながら』より


この作品では実名は伏せられているが、麻雀界に興味のある方であれば
九州出身のB君が小島武夫さんであろうことは誰でも察しがつく。
個人的な思いだが、私は小島先生の生き様には好感を抱いている。
特に飾ることも無く麻雀をギャンブルとして楽しんでいるようにみえる。
小島先生は天性のタレント、オーラを持って生まれてきた人だと思う。
今、日本プロ麻雀連盟のサイトを覗き、インタヴューの記事を読んだが
麻雀という勝負事の鍛錬方法に関しては、私もまったく同意見である。
ギャンブル好きの麻雀打ちで未読の方は一読をお薦めする…
ナントカ法に抵触しそうな話でも、御自身の見解を平然と主張される。
明るく清々として潔い…身内の者は大変だろうとは思うが…。

夜の訪問者(4)
メンバーに代走を頼み、私は席を立った。
カウンターで湯気の立つオシボリを受け取ってパンパンに凝り張った
首筋を拭きながら、そっとママに耳打ちした。
「あの客、新撰組の小島武夫だよ…」
「え…?シンセン組って…どこの組…?」
漫才のような応酬だ。
確かに、麻雀も打てないママにその名が判るはずもなかったろう。
私が二の句を迷っていると、
「あぶない人?」
あぶないといえば危ないのかも知れないが…ヤクザ、裏家業、水商売と
ここに集うような客は何かしらあぶない人種が多いわけで…
「うーん…」
「まさか…」
ママは眉を曇らせて額の真ん中に人差し指を当てた。警察の意味だ。
「いや、それは大丈夫、ねずみじゃないよ…」
そう告げると安心した顔で何度も頷いた。
警察以外であれば、お客の素性は知らない方が良いと思っているのだ。

深夜営業の雀荘では閉店前の飛び込み(新規)の客には注意を要する。
警察はガサ入れの前に先駆けのねずみを送り込むことが多いからだ。
鍵は内側から掛けられている。開錠と現場確保の役を担うわけだ。
通常、地場に面が割れていない管轄外の警察関係者に依頼するのだが
時には警察以外の人間を使うこともある。いやその方が多いのかも…
些細な旧悪の弱みを握られて、いやいやながら警察の手先を勤めていた
哀れなねずみ男が私の知る限りでも何人かはいたのだから。

「ツモ!三コロ… チッ!ツイてねえよ」
部長が三コロを自摸和了したというのに、舌打ちしている。
せっかく手にしたダブ権を放棄して帰らなければならないのが悔しいのだ。
カウンターの電話が鳴った。卓上で清算中の部長が
「俺なら帰ったって…」言ってくれと、すかさず釘を刺す。
頷いて受話器を取ったママが、
「はい、あ、今、出ましたよ、ええ、帰りました…」
出前を催促された蕎麦屋の口調で応答する。いつもの光景だ。

この部長さんは麻雀でアツくなると仕事をサボる癖があった。
部下に売り上げの計算をさせて伝票と現金を雀荘まで届けさせるのだ。
この手の管理職は水商売では珍しくは無い。サービス業だ。
常連客や上客との飲み食いや遊興も仕事の内という考えがあるからだ。
「部長、ダブ権なのに帰るんですかぁ」
私が揶揄と、黒革のコートに袖を通して
「今日は駄目なの、助けてやるよ、ダブ三、コロコロ」
コロコロと呟きながら出て行った。

客は私を入れて四人残っていた。小島さんとその連れと…もう一人、
私の下家が誰だったのか、どうしても思い出せないのでAさんとしておく。
私の代走をしたメンバーのムラちゃんが席を立とうとしない。
打ちたいのだろうと思った。最近売り出し中の麻雀新撰組の小島武夫と…
しかし、これは間違いだった。翌日になって判ったことだが、この店内に
居た人間は、誰一人として小島武夫という人物を知らなかったのだ。
顔も名前も職業も…これは、知名度というよりも、
盛り場の麻雀打ちの間では、他人の麻雀を観戦して楽しむことは間々あっても
専門誌や新聞雑誌のコラムを読んで楽しむような状況にはなっていなかった
ということだ。麻雀はギャンブルとしての実戦あるのみで…
当時の私のような麻雀狂いの若造や大学生や一般のサラリーマン雀士だけが、
メディアが提供する新奇な絵や文字を漁って喜んでいたわけだ。

ムラちゃんは麻雀を打ちたかっただけなのだ、相手は誰でも良かった。
そういえば「寝ないで大丈夫ですか?休んだほうが…」とか、
何度も私の身体を気遣って休ませようとしていたような気もする。
そんなこととは露知らず、私は独り善がりでムラちゃんに
「ムラちゃん、二、三回本走しなよ。俺はちょっと休憩…」
言った瞬間、マスターが嫌な顔をして私を睨んだ。

通常、フリーの雀荘では二人連れの新規の客は同卓させない。
特にブー麻雀ではルール上からもコンビ打ちをされたら敵わないのだ。
つまり、小島組の二人のうちの一人は参加できない。
だから、私が抜けると客は二人ということになってしまう。
店の人間が二人入る「ツー入り」状態になってしまうわけだ。
あと小一時間もすれば何人かの常連が来店するのは確実なのだが…

これより小島ワールドです。文体をギャ・チェンジさせていただきます。

恨めしそうに私を睨んでいたマスターが、不意に席をたったと思ったら。
「お二人様、どうぞ、入れますから」
なんと?何をトチ狂ったか、小島武夫とそのレツを同卓させると言うのです。
おいおい、相手が誰か知らんのかぁ~。(まあ、知らんかったわけで…)
しかし、小島先生のお連れ様のポッチャリ紳士は、
「いや、僕は結構ですから…後ろで観ていてもいいですか?」
やんわりと断りをいれてきました。
その時既に、小島先生は部長がいた席に陣取って、卓の上に両手を広げ
嬉しそうにジャラジャラと牌を掻き混ぜていたのです。
銭籠片手に席を離れたマスターが、又とぼとぼと元の席に戻りました。
銭籠にアウトのズク銭追加して…ゲームが再開されました。

私は見ない振りをして色々と観察してたんですよ、お二人を…
どうも、そんなに親しい間柄でも無いような気もしたんですけど
ポッチャリ紳士は裕福層、自営業なら社長さんかも知れんなあ。
眠くて意識が朦朧としているなかで想像したんですけど、ひょっとして
お二人はその夜、歌舞伎町の飲み屋で初めて会って、なんと言うか
意気投合したような、そんな風にも見えたわけで…酒臭かったし。
紳士が小島先生のフアンだったとか、麻雀の話で盛り上がったとか…
「よし、これから麻雀を打ちに行こう~」みたいなノリで…
まあ、直接訊いた訳じゃないんで実際のところは判らんのですけどね。

で、先生は二回戦ぐらい全然和了れんかった…一度もです。
まあ、東場の二、三局で終わっちゃうんですけど、ブー麻雀だから。
それで、ラストがかかるとお金を払うのは後ろで観ている紳士なんです。
先生は楽しそうにニコニコ打っているだけ。時々、紳士と会話しながら。
どういう関係なのか、また判んなくなっちまうわけで…

わたし、ちびっと眠気が飛んだので、ムラちゃんと交代しました。
「眠いから、誰かが来るまでだよ」
マスターがニッコリ顔です。前回、三コロ取ったばっかだし。
先生はいつもニコニコ、私に笑顔で挨拶なんぞもします。
流石に、牌扱いは達者でした。両手で牌を拾って、さっと積み上げます。

忘れもしません。東場の一局、親はマスターでした。
南家の先生が早い順目でリーチをかけてきたんですよ。
捨て牌なんかは覚えていません。ただ記憶に残るのは…

――pin2m.gif②――――――8pinnyoko⑧(リーチ)

二三順目にpin2m.gif②を捨てていて、pin8m.gif⑧でリーチを掛けて来た…
私はツモ切りでpin5m.gif⑤を切ったんですけど…
「ロ~ン!」と先生、初和了ですよ。
わたし、心の中で『汚ねえ、引っ掛けかよ…』と思いました。
割と得意だったんですよねぇ先生はこういう待ちが…
手牌を開いて

pin1m.gifpin2m.gifpin3m.gifpin4m.gifpin6m.gifpin7m.gifpin8m.gifpin9m.gif sou2m.gifsou3m.gifsou4m.gifman9m.gifman9m.gif

①②③④ ⑥⑦⑧⑨ (234九九)←不確か、ドラが2索だったと思う。
「リーチ、一発、一通、ドラいち…満貫ですね」
「一発はありません!」とわたし…

「そうですか、でも満貫ですね」と先生ニコニコ

「それは、半満貫です」とわたし…

先生、不思議そうに私を見て首を傾げ、作り笑いでニッコリ。

先生の和了が何故、半満貫になるのか…
解った方はコメントにて…
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テーマ:麻雀 - ジャンル:ギャンブル

コメント

うーん・・・

金沢かどっかでブー麻雀をやった時、場ぞろが1翻だったような気がするんですよね。それかなぁ。

小島先生は、プロの中で一番負けっぷりが様になります。何と言うか・・・「この人本当はもっとキッチリ打てるのに、イメージのためにこうしてるんだろうな」と思わせてくれる印象です。打ったことはありませんが、小島先生の牌譜はかなり見ました。

チョンボでは?でも・・・ 

amou0さん、初めまして。SPと申します。
割と最近ここを発見いたしましたが、他のサイトで別のハンドルで書き込まれていたのでは・・・という文章は以前から拝読させてもらっています。間違っていたら申し訳ありません。
今回は、テーマが私にとっても興味深いので、初めてコメントを書かせていただきます。
この麻雀荘はわたしの推測では鉄道会社の名前の店ではありませんか、そこだとすれば、私はその当時はうわさを聞くだけで行ったことはありません。そんな危険な場所には恐れ多くて・・・代替わりしてからなら何度か行ったことがあります。
さて、半満貫とのことですが、歌舞伎町のブーはチンマイはダメだったのではなかったでしょうか、ならばこのアガリはチョンボになり、半満貫の支払いとなるのではないでしょうか。
4000持ちなら500、1000。6000持ちなら800、1500でしたか、もうはるか昔なのであまり覚えていませんが。
しかし、小島さんがそんな間違いをするはずが無いのですがねえ、なにか思惑でもあったのなら別ですが、東一局にあの手をリーチして、しかも出アガりのチンマイにするとは小島さんを知る私としては非常に不可解です。
文章からはまともに打てないほどによっていたとは思えませんが、いったい何があったのでしょうか、次回が楽しみです。

ときに、今でも歌舞伎町でブーが打てるお店はあるのでしょうか、いつの間にか壊滅状態になってしまいましたが、もしご存知でしたら、教えていただければ幸いです。

これからも興味深い内容のお話楽しみにしています。

omoteura様

ブーです。いや、ブー麻雀のブーではなく、ハズレの「ブー」
若い雀士のお友達ならではのコメントに感謝感謝…
期待通り、思惑通りの誤答をいただき、有難うございました。

ヒントは「半満貫」という表現だったんですが…
通常は使わない表現でしょう。
↑のSP様が正解です。

SP様

ピンポン!です。
正確には、和了放棄の連続ツモ切りで、ゲームは続行
流局したらチョンボ確定というルールなのですが。
ブー麻雀のチョンボの処理は、店によって様々でした。
ブーのルール上、点棒支払いで不都合なケースも生じますから。

ご指摘の雀荘はもっと大久保よりに在った店かと思います。
この雀荘は漢字一文字の店でした。
現在では駅前通りは立派なビルばかりになってしまい、
私には当時の店の正確な場所さえ特定できません。

歌舞伎町には私の知る限りではブー麻雀の店は無いと思います。
順位優先を謳うトップ取りの雀荘は何軒か在るようです。
訪ねてないので正直なところ分りませんが…
やはり、ブーの醍醐味は味わえないと思います。
和了を制限されるような麻雀は一般受けしないのでしょう。

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近況:迎えをまっている。
   出来れば天国から
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