**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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メンバー百景(1ーD)

「凌」と書いて「りょう」と読む。
このスナックの店名で、ママの歌舞伎町での源氏名だ。
お水への源流は生まれ育った町のスナックでのアルバイトだという。
北国の小さな飲み屋で、本名の良子「よしこ」でデビューしたのだと。
札幌のススキノに移って良子を「りょうこ」と読ませたとか…
東京に出てきたのは…札幌への単身赴任の男、いわゆるサッチョン族の
妻子ある男との不倫にはじまる悲恋のドラマ。
ススキノの女には、あまりにもありふれた、不毛の愛の物語だと笑う。
男を追いかけて上京し、男の家に近い錦糸町の安キャバレーに勤めながら、
そこで人生観が変わるほどの波乱に満ちた数年間を送ったのだと。
自暴自棄になって開き直ることで、ようやく錦糸町から離れられたという。

歌舞伎町デビューは風林会館の上に在った有名なグランドキャバレーだが
ここで良子の「りょう」は凌駕の「凌」に変えられた。
連日、有名歌手やタレントが出演するステージと広いダンスフロアーを備えた
老舗大箱キャバレーの在籍ホステスの中に、既に良子という源氏名の売れ筋の
古参のホステスがいたからだ。
知り合って間もない頃、凌駕の凌なら良い名前だと話題にしたことがある。
が、名前には別の意味があった…シノギの意味の「凌」だというのだ。
「嫌味で付けたの…、甲斐性無しへのあてつけよ、ふふ…」
男の凌ぎの為の女なのだと、事も無げに言い切って浮かべた微笑の妖艶さ、
その妖しい美しさに、一瞬、我を忘れて見とれてしまった。
私はその「甲斐性無し」とも多少の交友があったのだが…それは伏せる。

凌は麻雀を打つ。
それも、見た目の線の細さからは想像もつかない強靭な麻雀を…

女性の麻雀打ちで勝負のバランス感覚を体得している打ち手は滅多にいない。
思考派か感覚派か、いずれか一方に極端に依存して流される者が多いのだ。
女性は感情を一方向、一点に集中することで情緒の安定を保とうとする。
色恋沙汰のパターンを検証すれば解るが、押並べて直情的なのだ。
女性の単眼的選択は、本能、メスとしての生理的反応なのだろうと思う。
四人が一対三で戦うという複眼的環境への対応が難しいのかも知れない。

凌も女であり例外では無い。が、彼女は目が利くのだ。
醒めた感性で場の温度差に高感度のサーモスタットが働く。
修羅場の場数を踏んだ者だけが、その過酷な戦いの代償として修得できる
進退の妙技…、我欲の抑制と開放とを切り替えられる鋭い感性だ。

通常はクセの無い淡々とした麻雀を打つ。
綾目のときは、転機を窺いながらジッと耐え忍ぶ慎重で繊細な麻雀になる。
そんな局面では、盲牌した瞬間に手を止めて、一瞬眉を曇らすことがある。
目をほそめ、唇を噛み、微かに首を傾げて一拍、おもむろに進退を決する。
その所作に盆茣蓙の風を感じる…賭場で札目を読む…そんな息遣いなのだ。

そして、一旦有卦に入り、嵩に掛かったときの攻めは尋常では無い。
「天上天下、りょうが独占…!」……もののけ姫が決め台詞を吐くと
対局者はたじたじとなり、大の男が雁首揃えて悲鳴を上げることになる。
「ばーか、それを言うなら唯我独尊てんだよ」
笑って茶化せるのは、彼女の恐ろしさ、神懸りの恐怖を未体験の人間だ。
いずれ、その厚顔も引きつる…睾丸も。

凌の麻雀は実戦博打麻雀なのだ。過去の生き様を彷彿とさせる…

「鉄火女めッ!持ってけ泥棒ッ!」
私は被害にあうと、そう毒づいて揶揄する。
「あぁ~快感!イキそう…」
この『イキそう』は彼女の口癖で、場面に依って数パターンを使い分ける。
「けっ!行けばいいだろッ、どこにでもイキぁがれッ!」
いつもこんな感じだ。

勝敗が逆の場合は…推して知るべし。

私は凌に惚れていたようだ。多分そうなのだ…。逃げ腰で…。
男が惚れた女に弱いのは当然だろう。金を巻上げることなどできない。
言い訳では無い!断じて!…そう思う…のだが。



凌ママは麻雀が好きでも、牌譜を読んで楽しむような手合いでは無い。
記号の意味ぐらいは判るかも知れないが、興味は無いだろう…

私は配牌を書いたメモをカウンターの上で帯紐状に細く折り畳んだ。
その紙紐で輪を作り、ママの小指に結び付けた。
「役満ができるオマジナイだよ…」
「おまじない……?」
「これを着けてれば国士無双をあがれるよ」
ニッとおどけた表情を振ろうとしたが、羽交い絞めの体勢で動けない。

「指輪なら、薬指がいいなぁ…」
「くすりゆびぃ……!」
顔が接触している状態なのだ…真顔なのかどうか近すぎて表情が見えない。
な、何を言うかぁ~!この男たらしがぁ~!俺がそんな甘言に…
しかし、悪い気はしない。まあ、誰でもそうだろうが…
「はい、はい、承知いたしました」
鼻の下を気にしながら、小指の紙紐をほどいて指定された薬指に巻きつけた。
「うふっ…そこ、感じる、あぁイキそう…」
「なぬ…!」
聞き慣れた台詞だが、耳元での熱い溜息は流石に利いた。
ゾクッと痺れて、紙紐を結ぶ手に力が入った。

ピリッ…プツン!

推して知るべし…
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テーマ:麻雀 - ジャンル:ギャンブル

コメント

きゃあきゃあ(興奮中)

omoteuraさんちからやってきました。
面白かったです~。
こういう「強い女性」の記事を目にする機会がなかったので、
とても興味深く、鼻の穴をふくらませながら読ませていただきました。

続きも楽しみにしております~。

演歌の世界・・・

お久しぶりのコメントです。
朝晩は随分涼しくなって参りましたが、体調など崩さずお元気でお過ごしでしょうか。
ワタシも徐々に元気になりつつありますので、そろそろ更新頻度を上げていきたいと考えています。(あくまで予定)

師匠の周りにいた女性達は会話が粋ですよね。
駆け引きが上手って言うのかな、男性をドキドキさせる小悪魔的な女性に囲まれていたのですね。
そういう女性って憧れます・・が、それにはやはり自分の人生を狂わすほど激しい恋愛をしないとダメなのかしら。

「男を追いかけ安キャバレーに・・」は絶対にできそうもないので諦めます。
だって自分が一番大切なんだもーん( ´,_ゝ`)プッ

かえる子さま

秘境ブログへようこそおいで下さいました。
O氏のブログにて、アネさんに「書け!」と要求されたので、
慌てて、大幅に修正を加えてUPいたしました。
本当は男女の愛憎の摩訶不思議な形態を書き込んでおりました。
修正したこの記事は二人の女性の記憶を一人の女に重ねて書いています。
どこがどうかは、ご想像に…

いま、御宅様をざっと覗いてまいりました。
私はスロットをいたしませんので意味不明な箇所も多々ございましたが
マニアックな部分を飛ばして読んでも、非常に面白かったです。
今後もちょくちょくお邪魔したいと思っております。
熱狂的ファンが多いようですから、遠くからそっと…巣トーク。
ツバメの巣トーク…好きです。

当庵は秘宝伝も無く、吉宗もケンシロウ(古?)もおりませんが、
今後も楽しんでいただければ幸いです。

みさと様

お嬢さんは真っ黒になって無事にお帰りでしょうか?
子供のいない(断言は出来ないのですが…)わたくしが
親子の話に偉そうに口出しするのはどうかと思い、
コメントは控えたのですが、一言「アンタが正しい!」以上!

で、↑コメの最後の一行
>だって自分が一番大切なんだもーん( ´,_ゝ`)プッ

解ります。男は捨てても良いでしょう。責めませんが…
子供が溺れていたら…お願いです。
海が嫌いでも、泳げなくても、日焼け止めを塗っていなくても、
見知らぬ他人の子供でも…お願いです。

文才ありますね~♪
思わず読みいっちゃいました
ところで
麻雀好きに朗報です!
遊べる!稼げる!
そのうちいつかぜひご一緒に対戦しましょう

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H.N: 天羽 礼
年齢:知ってどうする?
職業:まとも、だから退屈で
   遊んでるようなもの
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生息地:深山幽谷&ネオン街
近況:迎えをまっている。
   出来れば天国から
   シースルーの羽衣の
   天女さまを希望…

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