**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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メンバー百景(1-G)

吉田が指摘した小手返し…
あの国士狙いの局面で、私はそれを一度だけ使用していたのは確かだった。
捨て牌に筒子の出来面子を落とさなければならなかったからだ。
序盤に⑨pin9m.gif ⑦pin7m.gifと捨てて、すぐに⑧pin8m.gifが手出しでは異臭を放つ。
pin8m.gifを失敗形の自摸切りだと装うために小手返しで打ち捨てたと思う。

あの局の摸打の詳細までは思い出せぬが、微かな記憶の糸を辿ってみよう…


私は馴染みの雀荘では、待ち時間があれば集計表に目を通す。
その一連の記録から、ゲーム中の卓の位相を観察する。
勝敗の分布に極端な偏りが無ければ問題は無い。
しかし、明らかに異状であればその原因を考査する。
連勝や連敗のパターンから、四分の一のバランスが一対三で崩れているのか、
それとも一対一の因果なのか、対局者の相性や席順によって偏っているのか、
あるいは個人の技量や器量、気迫の差異などによって偏倚しているのかを
集計表のデータから判断する。
天気図を見て気圧配置や勢力分布、前線の停滞状況を読むようなものだ。
暴風雨の拡散や軌道修正が効くものかどうか、その偏り具合が問題なのだ。

あの日、工藤君の勝率は異常だった。いわゆるバカズキというやつだ。
私が店に顔を出すやいなや、早番の責任者の吉田が集計表を差し出し
「これ… 今日の工藤、半端じゃ無いっすよ…」
工藤君の連勝パターンを指差しながら苦笑する。

彼は出勤直後に遅番と交代して本走し、徹夜明けの客を相手に三連勝していた。
昼過ぎに客が増え、二卓に伸ばされている。
相手が替わり、卓を移動し、場所が変わっても勢いは落ちてない。
連勝が目立ち、ラスを一度も引いてないという驚異的な成績だった。
相手のラス目は分散している。つまり彼の独壇場で一対三のカッパギ状態だ。
彼の麻雀は元々ラスを引かないことを第一とするような麻雀だったから、
その分、取れるトップを逃してしまう割合も多いのだが…
あの日は違っていた。
「アゲマンの彼女でもできたかな…?」
「ハハハ、なら良いけど、それは無い、百パーあり得ない」
「なんで?」
「毎日24時間、ずーっと一緒にいますから…」
「彼は通いだろう? 一人でアパート借りてるって…」
「帰るのが面倒だって、ここんとこずっと寮に寝泊りしてるんです」
「そうか…寮じゃ女は無理だよな、ハハハ」
ハハハ、と笑っていられたのは、
工藤君と交代して卓入りするなら問題は無いと思っていたからだ。

が、数分後に彼の「ラストー!」の声と同時に上家の客が席を立った。
常連のビデオ屋の番頭だ。イカツイ風貌だが決して性悪な客では無い。
普段は大人しく、金にも綺麗な男なのだが…
「足りねえ分は、借りだ…」
預かり金の引換証を兼ねた銭籠を卓上に投げ出して席を離れる。
二連続でラスを喰らい、最後は飛ばされてパンクしてしまったようだ。

ビデオ屋は吉田が慌てて差し出したおしぼりを手の裏で払い除け
「ひでぇ場所だ…やってらんねえよ…」
荒々しくドアを閉めて帰ってしまった。

私は嫌な予感に襲われていた。
「天羽さん、お願いします…」
吉田が差し出す銭籠を受け取りながら、もう一度集計表に目を通す。

「今回、場所替えですから…」
この店は客の要求があれば四回戦ごとに場所替えをする。
私は場所へのこだわりなどは特に無い。要求したことも皆無だ。
風水の吉凶などは意に介さないが…

問題は工藤君と交代するという事前の予測が外れてしまったことなのだ。
危惧は私の思惑と現実の状況が参戦前からズレているという凶兆だ。

工藤君の運気の強さはやはり尋常ではなかった。
場所替えは風牌の掴み取りで決めるルールだった。
伏せた四枚の風牌を、席替えを要求していた者が最初に掴み取る。
そして前局に要求したのは、たった今帰ってしまったビデオ屋だったという。
だから、私が最初に牌を捲ることになった。
指で弾いた牌は「北」だった。対面が「南」。上家が「西」を引いた…

卓の中央に裏のまま一枚残った開けずの「東」を放置して、
「移動しますか?それともこのままで…」
工藤君が余裕の表情で問いかける。

「俺ぁ、ジタバタしねえよ…」
対面の常連客の板前が鼻で笑って、リセット・ボタンを叩いた。

工藤君の自信に満ちた横顔と現ナマで溢れんばかりの二枚重ねの銭籠を横目に、
私はタバコをくわえ、俯き加減に火を着けた…
しばらくはブリザードの中での苦しい戦いになることを予感しながら…

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コメント

ズレというか違和感というか…

私も非常に嫌です。
その時点での勢いの差は歴然ですから、調整やゲームであれば参加しますけど…。

まあ、私の場合は運任せの山勘麻雀ですから、他に判断基準が無いだけですがね(笑)

お久しぶりです

う~ん・・・その銭籠の金「俺がいただこうか」と思いながらも、もう一段献上してしまうのかなあ・・

子皮さま

情報は多いに越したことはありませんが、不安要素などは
勝負に於いては知らない方が良い結果を生むこともあるわけで…
運に対する配慮などは、未知なるものへの畏敬の念と位置付けております。

運任せの山勘だから勝てる場合も多々ありますからね。

私は麻雀は劣勢場面での対処の仕方で巧拙が分かれると思っています。

見切り、潮目、潮時、単にやめるという選択だけでは無く、
その波動の端境を見極め転機を見出せるか否かで浮沈が決まる。
海水浴と同じですね。
荒波に溺れ、慌ててジタバタもがいても沈んでしまうだけでしょう。
練達者は力を抜いて浮き上がり、波間で息を繋いで泳ぎ切るはずです。
嵐の海で泳ぎ切る。最高の醍醐味です。力尽きて溺れてもまた一興…

麻雀バカ さま

お久し振りです。

HNの下二桁…なんとかなりませんかね(笑)

え~と、ワタクシはですねぇ、爪は常に短めにカットしておりまして…

>その銭籠の金「俺がいただこうか
などとは「コホン…」決して思わない人格者でありまして、
ふたたび「コホン…」温厚な紳士として評判なわけです。

雀荘では場代を払ってプラマイ0なら、もうそれで充分満足なんです。
え? 信じられない…?
「あなた!信じないと地獄に落ちるわよ~!!」

お詫び

わかりました。(笑)
私は、自分への戒めと嘲笑を兼て、このHNを使っています。が、プログの製作者を意味なく不快にさせる事はけっして本意ではありません。
バカ⇒麻雀バカ⇒K南と、このプログへの書き込みは名称を変更します。今後も情感あふれる背景、人間模様を書き綴ってください。

K南さま

度々のご配慮、恐れ入ります。
私は怠惰でモノグサなブロガーを標榜しておりますので、
気紛れな記事は一方通行の書き捨てで済ましておりますが、
コメントへの対処、交信は相手を意識せざるをえません。
宛名書きなど、誰でもどうでもいいような要求に素直に応える
K南氏の真摯な態度には人柄が窺え、感じ入っております。
今後とも、不遜我儘をご容赦の上でお付合い願えれば幸甚の極みです。

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   出来れば天国から
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