**麻雀蒐穂録**

マージャンとはギャンブルとはゲームとは…そしてプロとは…!

遠い昔、歌舞伎町のけもの道を徘徊していた 畏怖るべきアウトロー達との交遊を
途切れた記憶の糸を紡ぎながら回顧録まがいに書き起こそうと思います。

 ※実体験以外に風聞や創作も加味するつもりです。フィクションとしてお読み下さい。

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金色夜叉(3)

西単騎をツモっただとぉ…!?

「まさか…!?」
私は反射的にタケさんの河を確かめていた。

対面にとっては一番拾い安い位置にあった西の所在を…
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西は北と發に挟まれたまま、まだタケさんの河に並んでいた。

目を凝らすまでもないのだ――
四枚の西はずっと私の視界に入っていたのだから。
それはそうだ、いくら大敗けしていようとも、
今時のメンバーが牌を拾うようなまねはしない。
イタズラが通用する客ではないことも承知しているはずだ。

ヤッコさん、役満に興奮して盲牌を誤ったのか…?

盲牌して、興奮のあまりツモった牌を卓に叩きつけようとしたが、
腕を振り上げた瞬間にメンバーとしての自制心が働いたらしく、
慌てて頭上で握り込んでしまった牌を、
彼はそっと手牌の端に並べて見せた。

西であるはずがない――

「……!」

彼がツモったのは、なんと…!

私のロン牌。バッタ待ちの片割れの――

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白板だった。

しかし――
白板の盲牌ミスなど有り得ない。







それは確かに白板だったが――


よく見ると… siropotti

真白な肌に彫りなんぞ刻み込んで、臍ピアスじゃあるまいに、
ど真ん中にダイヤまがいのガラス玉を埋め込んでやがる、

白ポッチというケッタクソの悪い極道牌だった!

リーチをかけて山から白いダイヤを掘り当てれば、
オールマイティのツモ和了となり祝儀まで付く――
それがこの店のルールだった。

白ポッチが見えない限り、リーチの待ちに純カラはないのだ。
ルールを忘れていたわけではない。
気紛れな不良牌とはまともな付き合いなど望むべくもないが…
よりによって、純カラのはずの役満で……!
不ズキの相手に対しては想定外だったために愕然とした。

役満+白ポッチに裏ドラまで載っての祝儀が七枚オール。
楽勝のトップ目から、手出しの二着にされたのだ。
嬉々とするメンバーを横目に銭籠を漁りながら溜息が出た。

そして、してはならない後悔がよぎった。

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一二三五(赤)五八八九白白西西西

あの手から青五萬をポンする必然性があったのか…
白は無条件でポンする。八萬も七萬も鳴く気でいたが…

あの五萬の対子は、はじめから叩く気はなかったはずだ…
五萬の対子は赤ドラ絡みの両面形に変化させるつもりだった…

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青五萬が出たから欲が出た。爪を伸ばして鳴いてしまったのだ。

五萬を鳴かなければ白ポッチは私のツモ…

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一二三五(赤)五八八白白白西西西

白板が暗刻になりメンホンの聴牌になっていた――
純カラのアホな役満をツモられることもなかったのだ。
欲を出して鳴くべきではなかった――と後悔してしまった。

反省ならば良い。だが、後悔はいけない。
反省と後悔とは似て異なるものだ。

結果を納得した上で対応を考え実践するための反省であれば、
プラス思考であり戦闘意欲も勝負勘も損なうことはない。

だが、後悔とは自責の念だ。自己嫌悪といえる。
その払拭できない負の記憶が感性を鈍らせる。
以後の勝負に不安が芽生え、闘牌に迷いが生じるようになる。
強靭な意志による情動のカタルシスがなければ、
イメージの錯誤を繰り返すような負の連鎖に陥りやすいのだ。


本来、私が反省すべきは選択の是非などではなかったのだ。
それまでの戦いが苦戦の連続で、
場成り手成りで押すと必ず振り込んでしまうといったような
運に見放された最悪な展開が続いていたのなら別だが、
そんな状態ではなかった。私にはまだ余裕があったのだ。

青五萬への仕掛けは常套手筋で何の問題もない。
懸賞牌が増える上に聴牌するなら、当然の選択だろう。
むしろ鳴かない方が異常といえる。

だとすれば反省すべきは何か――
誰でもそうだと思うが…
覚悟の上の打牌であればハネ満に振ろうが倍満に振ろうが、
驚くことも動じることもないはずだ。
たとえ役満だろうと、それが想定内であれば納得するだろう。
当たっても仕方がないと覚悟の上で勝負するからだ。
ツモられても同じことだ。悔いることはないだろう。

想定内であれば――だ。

そうなのだ、私が問題にすべきだったのは――
青五萬も白ポッチも想定外だったという異常なのだ。
だから結果の意外さに愕然として、無意味な後悔までしてしまう。

自覚しなければならなかったのは気の緩み、集中力の欠如だ。

意識の及ばぬ深みで、舟は確実に岸から離れて揺れだした――

つづく…
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テーマ:麻雀 - ジャンル:ギャンブル

コメント

想定

全ての可能性を想定し甘受するのが博打の基本である以上、この事はamou0さんにしては珍しい甘さとしか言えませんね。
まあ、卓割れを嫌った時点からですが(笑)

子皮さま

珍しい甘さ…ではありませんよ。
私の常、本性です。

ギャンブルに関わる仕事から足を洗ってからは、
金銭欲で博打や麻雀を打ったことはないと思います。多分…
麻雀は娯楽、付き合いといったスタンスで遊んでいます。

恋愛や仕事、トラブルの交渉などでも言えることですが、
敵?を目の前にしての対戦ゲームのようなものは
相手の心理を読み取る能力が重要であり不可欠です。
経験を活かせる才能と余裕があれば感性は養われますが、
相手の心理心情への対処や配慮は時に感情移入ともなり、
相手が弱ってて悲惨な状態だと闘争心さえ失うこともあります。
あなたはもう勝てないから止めて帰りなさい――と言いたくなる。

私はなにかしら余程の敵愾心が湧かない限り非情にはなれません。
遊びの麻雀で勝ちに拘る必要もないと思っているのです。
まあ、勝てば嬉しくもあり、負ければ悔しくもあるわけですが、
いずれにしても笑ってゲームを楽しんでいたい。
仕事じゃないんだから…(^_^;)

精神的には子皮さんの以前のコメントの
「多勢から少しずつがいい…」という心理に近いのかな――(^_-)-☆

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   出来れば天国から
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